研究課題/領域番号 |
24780144
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉田 智弘 東京農工大学, 農学部, 助教 (60521052)
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キーワード | 森林 / 土壌動物 / 国際情報交換 / オーストラリア / 樹洞 / 野外操作実験 / リター |
研究概要 |
平成25年度は、1)研究協力者2名による国内野外調査、2)申請者による海外調査を実施し、本研究課題の成果として2編の論文が受理された。 国内野外調査として、樹洞に生息する水生の腐食者群集の構造に対する資源(水・リター)流入の影響を明らかにするために、樹洞に流入する資源量を操作した野外実験をおこなった。その結果、水の流入制限によって個体数を増加させる種と減少させる種がみられ、樹洞外部からの資源供給に対する水生生物の反応は、生物種によって異なることが示された。 もうひとつの国内野外調査では、自然条件下の樹洞内に生息する土壌動物群集を調査し、樹洞サイズ・資源量との関係を検証した。樹洞のサイズ(容量)と内部リター量の間に正の相関がみられたが、樹洞の容量、リター量、リター含水率などの環境因子と動物個体数の間には有意な関係はみられなかった。このことは、自然条件下の樹洞では、生息地サイズが内部資源量を規定しているが、内部資源の存在履歴・分解段階等、今回未調査の因子が相殺し合うことによって、動物に対する影響は検出されにくいことを示唆している。 また、申請者は、オーストラリアにおいて、樹上の着生植物リターに生息する腐食者群集を調査した。樹幹部に粘着テープを設置することによって林床リター~着生植物リター間の移動を遮断し、島としての着生植物リターの腐食者群集が大陸(林床リター)からの動物供給にどれくらい依存しているかを検証した。この調査のサンプル処理および解析は次年度に実施する予定である。 本研究課題に関連した申請者の研究成果として、平成24年度および25年度に投稿した2編の論文が平成25年度に掲載受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、国内調査および海外調査を問題なく実施し、過去の成果をまとめた論文が掲載受理されたため、現在までのところ、本研究課題は順調に進展していると言える。特に、オーストラリアでの調査は当初計画とは異なる調査地(計画書では沖縄)で実施することになったにも関わらず、首尾よくおこなうことができた。 これまでのところ、研究課題で設定した5種類の調査対象(樹上パッチ状資源:①樹洞水溜まり、②樹洞リター、③樹幹分岐部リター、④コケリター、⑤着生植物リター)のうち、④を除く4つの調査を終了している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は研究協力者がいないため、野外調査へ費やす労力を少なくして、成果を取りまとめることに重点を置く予定である。これまでに得られた結果を論文として取りまとめ、国際誌に数編投稿する。
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