本研究では,空中写真を用いた時系列変化抽出により,人工林施業区画の抽出を試みた。先行研究と同様の手法が福島県内の対象地においても有効であるか検討した。対象地は福島県会津美里町旭無量地区と同町佐賀瀬川地区の県行造林地周辺である。使用データは林野庁撮影の空中写真36枚と米軍撮影の空中写真6枚の計42枚である。また,IKONOSデータ,Landsatデータ,DEM,福島県森林GISデータも使用した。 まずLandsat画像を水平方向の参照画像としてIKONOS衛星画像の幾何補正を行い,次に幾何補正済みのIKONOS画像を水平方向の参照画像として空中写真の幾何補正を行った。CART法を用いて,オブジェクトベースでの変化抽出を行った。分類に使用した特徴量は,空中写真2時期合成画像の主成分分析の第2主成分における平均値と標準偏差である。 区画抽出について,伐採地を正確に捉えていたところもあったが,一方で,伐採地であるにもかかわらず,変化なしと分類されてしまったところや陰影部を伐採地として分類した例も見受けられた。伐採地と変化なしの誤分類については,オブジェクトベースでの分類を行う際に取得するサンプルの質を上げることによりそれを減らすことが期待できる。 画像分類抽出結果と森林GISデータの施業区画の精度比較を行った。2時期の空中写真とその合成画像から画像判読によって作成したポリゴンを真値として,それに対するOmission Error(OE),Commission Error(CE)をそれぞれ求めた。OEの値は画像分類による抽出結果の方が低かった。一方,CEの値は森林GISの方が低い結果であった。全体的に,区画によって精度のばらつきが大きかった。画像分類による抽出結果の方が区画を正確に捉えていたところもあったが,現状の抽出精度では本手法によって森林GISを補うのは困難であると考えられた。
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