研究課題/領域番号 |
24780147
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
加藤 正吾 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20324288)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 負の光屈性 / 付着根型つる植物 / 匍匐シュート / 登攀シュート / イワガラミ / ツルアジサイ / テイカカズラ |
研究実績の概要 |
昨年度までに付着根型つる植物のイワガラミとテイカズラは、負の光屈性を行うことがわかっているが、匍匐シュート、登攀シュートともに、屈性がシュートの成長点付近だけでなく、これまで知られていない成長の止まった部位での屈曲が関係している実験結果が得られていた。この屈曲部位を明らかにする必要があり、また登攀シュートでは支持体との摩擦や付着根の発生の有無についても検討する必要がある。今年度は、匍匐シュートと登攀シュートの屈曲部位を明らかにすることと試みた。
イワガラミ、テイカカズラの匍匐シュートの屈曲部位に関する光屈性の実験を行った。12時間日長の人工光下で、7日間、フラッシュを使用せず、5分間隔のインターバル撮影によりシュートの各節毎の座標を1時間毎に解析した。2種とも負の光屈性を行うが、その屈曲部位が異なる傾向があり、2種の負の光屈性は異なる生理機構が働いている可能性が示唆された。
また、イワガラミの登攀シュートの屈曲過程に関する実験を行った。登攀するための支持体には、発泡スチロールに摩擦力がある紙ヤスリを貼り付けたものを用いた。12時間日長の人工光下で、10日間、フラッシュを使用せず、5分間隔のインターバル撮影により明期のシュートの各節毎の座標を1時間毎に解析を試みた。しかしながら、実験植物の育苗が順調ではなく、解析結果を検討するための充分なデータが得られなかった。次年度、この該当部分の実験を再度行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野外におけるイワガラミとツルアジサイの林床と樹幹上での空間分布を明らかにすることができ、付着根型つる植物の空間獲得戦略の一端を明らかにすることができた。
実験室における光屈性の実験では、匍匐シュートの負の光屈性に関する特性が、イワガラミについて明らかになった。しかしながら、シュートのいずれの部位が屈曲に大きく貢献しているのかが充分明らかになっておらず、また登攀シュートにおける屈性の実験植物の育成が順調ではなく、充分な実験データが得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
実験植物の育苗を行い、匍匐シュートにおける屈曲伸長部位の特定と、登攀シュートの屈曲課程を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験植物の屈曲の部位、タイミングを測定する実験過程で、屈曲部位を精密に測定する必要性が生じた。しかしながら、実験植物は木本植物であるため、秋季から冬季に充分な育苗を行うことができなかった。この測定を行うためには、実験に適した生育状況を次年度の春季から夏季に作り出す必要がある。この育苗用の費用に未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額は、実験植物の栽培容器、栽培土、栽培照明用LEDライトの購入に充てる予定である。
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