付着根型つる植物の落葉性のイワガラミ(アジサイ科)と常緑性のテイカカズラ(キョウチクトウ科)の正と負の光屈性に関して、人工光を照射する実験を設定し、イワガラミとテイカカズラの匍匐シュートの成長や屈性をデジタルカメラにより記録することにより、屈性反応を明らかにしようと試みた。
実験には、LED電球を用い、12時間日長、光量子束密度は80μmol/㎡/sとした。シュートの移動過程は、デジタルカメラによるインターバル撮影によって記録した。デジタルカメラの写真記録から、シュートの伸長量、屈曲度を算出するための座標を読み取った。生育期間は7日間とした。実験に用いたシュートは種子から育苗した実生をそれぞれ12本ずつ用いた。イワガラミの実験時のシュート長は約20cm、テイカカズラの実験時のシュート長は約10cmであり、3cmから5cm程度、実験中にシュートが伸長した。
イワガラミ匍匐シュートは、シュート先端部位で、主に明期に正の光屈性、暗期に負の光屈性をすることを確認した。また、シュート全体の伸長量も明期より暗期で大きかった。一方、テイカカズラ匍匐シュートは、明期に負の光屈性を、暗期には正と負の光屈性をしており、伸長成長の停止した部位で屈性反応が生じていることを確認した。テイカカズラの負の光屈性には必ずしも成長をともなう必要がないことがわかった。以上の結果から、付着根型つる植物の負の光屈性に2つのメカニズムが存在することを明らかにした。
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