本研究では,都市の大気熱環境における緑地の影響を評価するため,緑地での大気加熱量の観測と,衛星観測データを用いた緑地温度と土地被覆の関係についての時間変化の特徴を調べた.一般に緑地が植生を含まない都市的土地被覆よりも低温であるが,冬季の農地では都市より高温となり,林地では夏季でも都市と匹敵する大気加熱がみられた.このため,季節性や緑地内の植物構成を考慮しないと緑地の冷却効果を過大評価するおそれがある.さまざまな都市緑地における植物活動に関するデータが得られれば,有用な緑地効果を評価する指標を提案できると期待される.
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