地上木部の呼吸能力を精度よく効率的に推定するため、枝幹の呼吸能力は器官サイズでなく梢端部の葉重量に規定されるという仮説を検証した。具体的には、若いブナ個体内の様々な位置にある枝や幹の呼吸能力と梢端部の葉重量、器官サイズ、齢を調べ、呼吸能力と葉重量、サイズ、齢の関係を分析した。その結果、呼吸能力の空間変化を最もよく説明するのは葉重量ではなく、サイズと齢であることがわかった。これは被陰等により枝や個体の光合成量が低下しても、木部の呼吸能力は変化しないことを意味する。競争に負けて被陰された枝や個体では、過去に蓄積された木部器官の呼吸が相対的に大きくなり、炭素利用効率が急激に悪化する可能性がある。
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