• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

スギ根系の構造および成長特性に及ぼす遺伝的要因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24780160
研究機関国立研究開発法人 森林総合研究所

研究代表者

大平 峰子  国立研究開発法人 森林総合研究所, 林木育種センター, 主任研究員 (40370861)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード根系 / スギ / 形質 / 育種 / 樹木根 / 不定根 / さし木
研究実績の概要

本研究は、地上部の成長に対する根系の影響を評価するため、スギの根系構造および成長を解析し、地上部と根系の成長特性の関係を明らかにすることを目的としている。今年度は、さし木苗の根系形質の年度間の変動評価、地上・地下部の成長動態の解析、肥料量の増減による根の形態変化を行うとともに、試験林の土壌・成長調査を行った。まず、10クローンのさし木苗の根系構造を2年間で比較した結果、総根長、直径1mm以下の細根長、表面積、体積について年次間およびクローン間差があること、年次の影響を除去しても有意なクローン間差があることを明らかにした。このうち4クローンについて1ヶ月おきに根の成長解析を行った結果、総根長はいずれのクローンも指数関数的に増加したが、根の直径成長が著しいクローン、細根を多量に発生させるクローン、他のクローンよりT/R比が低いクローンが見い出された。試験林での成長と比較すると、細根量の多いクローンは試験林で樹高が高く、T/R比が低いクローンは樹高が低かった。これらのことから、細根量が地上部への成長に寄与すること、地下部への分配率が高いために地上部の成長が相対的に低くなる可能性が示唆された。また、同じ4クローンのさし木苗に対して肥料量を増減したところ、低濃度域で細根が増加し、高濃度域で太根が発達するクローンが認められた。このことから、土壌の環境によって根が可塑的に反応する場合があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り研究を遂行し、クローンによって根系構造および成長動態が異なることを明らかにした。さらに、 細根量が多い・T/R比が低い等の特徴を持つクローンを見い出した。来年度は、これらのクローンを用いた効率的な遺伝解析を行うことが可能であると考えている。

今後の研究の推進方策

スギの根系構造とその発達プロセスを理解するため、不定根の形成および根系の発達プロセスをいくつかのステージに区分し、網羅的遺伝子発現解析を行う。また、地上・地下部の器官間分配および成長動態を解析するため、さし木苗のバイオマス量等の測定および成長動態の観察を継続し、最終的な地上・地下部の成長量を評価するとともに、根系の可塑的反応についても検討する。最後に、試験林およびさし木苗で得られたデータをとりまとめ、クローンによる根系の遺伝的変異を評価するとともに、苗木の根系形質から成木の地上部成長と強い相関関係があるものを抽出する。

次年度使用額が生じた理由

根系の観察・形質の測定・遺伝子の発現解析等を実施して研究を遂行し、得られた成果について発表を行う。

次年度使用額の使用計画

根系の観察・形質の特性解析・遺伝子の発現解析等を実施するための試薬および実験機器の費用、これらの分析および測定のための実験補助者への謝金、成果発表および調査を行うための旅費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] スギさし木苗の根系成長におけるクローン間変異2016

    • 著者名/発表者名
      大平峰子、花岡創、平岡裕一郎、渡辺敦史
    • 学会等名
      第127回日本森林学会大会
    • 発表場所
      日本大学生物資源科学部(神奈川県藤沢市)
    • 年月日
      2016-03-27 – 2016-03-30
  • [学会発表] スギさし木苗の根系におけるクローン間差異2015

    • 著者名/発表者名
      大平峰子、花岡創、平岡裕一郎、渡辺敦史
    • 学会等名
      第43回根研究集会
    • 発表場所
      東京農業大学(神奈川県厚木市)
    • 年月日
      2015-09-30 – 2015-10-01

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi