環境要因がクロマツの材線虫病抵抗性に及ぼす影響を明らかにするため,遺伝的な抵抗性の異なるマツ実生苗にマツノザイセンチュウ(以下,線虫)の接種実験を行った。光強度の異なる条件下でクロマツ家系の苗木に線虫を接種し,苗木の枯死は光強度とクロマツ家系間の違いによって影響を受けること,それらの交互作用は認められないこと,比較的軽度の光強度の低下によっても抵抗性が低下すること,接種以前の宿主の光環境への応答状態が抵抗性に影響することを示した。また,気温の異なる条件下で同様の接種実験を行い,高温条件では遺伝的な抵抗性に関係なくほとんどの苗が枯損し,遺伝的な抵抗性の発現が温度環境に依存していることが示された。
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