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2012 年度 実施状況報告書

森林土壌中の粗大孔隙を流れる選択流の溶質移動特性と発現機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24780162
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

釣田 竜也  独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (30353775)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード粗大孔隙 / 選択流 / マトリックス流 / 移動量 / 溶存成分濃度
研究概要

森林土壌では、降雨時に粗大孔隙を選択的に流れる水(選択流)の存在が知られている。しかし、森林の物質循環研究において、土壌中の溶存物質の移動に対する選択流の寄与については十分な知見がない。本研究は、森林土壌中のマトリックス部分を経由する水の量と粗大孔隙を経由する水の量を個別に測定し、またその溶存成分を分析することにより、森林土壌中の溶存物質の移動に対する選択流の寄与を明らかにすることを目的とする。
研究初年度となる今年度は、観測体制を確立し、観測を開始することを目的とした。熊本県の鹿北流域試験地3号沢内の斜面上部と斜面下部の2地点に調査地を設定し、粗大孔隙を経由する水を主に採取すると考えられるゼロテンションライシメータ(ZTL)と、マトリックスを経由する水を主に採取すると考えられるテンションライシメータ(TL)を表層と下層の2深度に設置した。また、マトリックスを経由する水の移動量を観測するためのポーラスプレート・テンションライシメータを下層土壌に設置した。さらに、林外雨、林内雨、リター層通過水の採取装置も設置して観測を開始した。リター層通過過程で高濃度となる溶存有機炭素濃度(DOC濃度)を分析した結果、斜面上部の表層のZTLのDOC濃度は同深度のTLのDOC濃度よりも常に高く、リター層通過水に匹敵する高濃度であることが分かった。このことから、ZTLでは土壌中を素早く重力移動した水が採水されたと考えられ、このような選択流を介した溶質移動の寄与を評価することの重要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に従い、今年度は鹿北試験地3号沢の源頭部の斜面上部と斜面下部に調査地点を設定し、粗大孔隙を経由する水を主に採取すると考えられるゼロテンションライシメータ(ZTL)と、マトリックスを経由する水を主に採取すると考えられるテンションライシメータ(TL)を表層と下層の2深度に設置した。また、マトリックスを経由する水の移動量を観測するためのポーラスプレート・テンションライシメータを下層土壌に設置した。さらに、林外雨、林内雨、リター層通過水の採取装置も設置して一連の観測体制を確立し、観測を開始することができた。この観測結果の解析から、選択流を介した溶質移動を評価することの重要性が示唆された。以上のように研究計画に従って順調に進展しているため、上記の自己評価とした。

今後の研究の推進方策

今後は、調査地点における観測を継続し、溶質濃度と水移動量の観測結果に基づいて、森林土壌中の溶存炭素や溶存窒素等の年間の移動に対する選択流の寄与の割合を明らかにする予定である。また、選択流の発現機構を明らかにするため、調査地点から採取した不かく乱土壌試料の不飽和透水試験を行い、粗大孔隙部分を除く土壌マトリックスの透水速度を測定する予定である。

次年度の研究費の使用計画

物品費を、採水装置の維持に関わる消耗品の購入と試料の分析に関わる消耗品の購入に使用する。
旅費を、調査地への試料採取等に使用する。
人件費・謝金を、試料の分析補助のための研究補助員の賃金に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 北部九州のスギ・ヒノキ人工林における土壌中の溶存炭素の動態2013

    • 著者名/発表者名
      釣田竜也、石塚成宏
    • 学会等名
      日本森林学会
    • 発表場所
      岩手大学(岩手県)
    • 年月日
      20130326-20130327

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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