低コスト仕様の航空機リモートセンシングデータを利用した質的および量的な森林情報を一元的に把握する森林現況把握システムを開発することが期間全体の目標である。システムの主要な構成の一つ目として(初年度の目標)、可視域3バンドのデジタル簡易オルソ空中写真から森林タイプに関する情報を抽出する手法を開発した。簡易オルソ空中写真に対して小領域のオブジェクトに分割した後に、機械学習の一つであるRandomForest法を利用してオブジェクト内の画像統計量を説明変数として画像分類する手法を考案した。学習データとは独立した検証用のデータで分類精度を検証した結果、約83%の全体精度を持つ森林タイプ分類モデルを構築することができた。システムの主要な構成の二つ目として(二年度目および最終年度の目標)、低コスト仕様の航空機LiDARデータ(レーザ点密度が約0.5点/m2 )から平均樹高を高精度に直接推定する手法を確立した。約4年間の平均樹高成長量を当該手法で推定し、その推定精度を検証した結果、平均樹高成長量の推定誤差はわずか約20cmと極めて正確度が高い平均樹高推定手法を確立できたことが明らかとなった。システムの主要な構成の三つ目として(二年度目および最終年度の目標)、要間伐林分を把握する手法を開発した。簡易オルソ空中写真から間接的に推定した平均胸高直径と低コスト仕様の航空機LiDARデータから直接推定した平均樹高から林分形状比を算出し、林分形状比80以上のスギ林分を要間伐林分とみなしたところ、その正解率は約77%であった。以上、森林現況把握システムの主要な3つの構成について、更なる精度向上の余地はあるものの、現状で妥当な精度を持つシステム開発を行うことができた。
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