平成26年度は、当初予定どおりに研究成果の公表を行った。本研究では、国際鳥学会(26th International Ornithological Congress)を研究成果の公表の場として選定した。国際鳥学会は、4年に一度開催される大規模な国際大会であり、本研究成果を公表する場として最適な大会と言える。 発表タイトルは、Spatial characteristics of foraging habitat and seasonal changes in potential foraging area of Golden Eagle in deciduous broadleaf forestであり、ニホンイヌワシが利用する林冠ギャップのサイズや形状を報告すると共に、それらの特徴を有するギャップの現存面積の合計値が夏季に著しく減少することを紹介した。また、林冠ギャップの現存面積が夏季に激減することを踏まえ、ニホンイヌワシを保全するためには、①現存する林冠ギャップのうち、ニホンイヌワシが利用可能なサイズや形状を有するものを積極的に保護すること、②林冠ギャップが形成されない地域(スギ人工林など)に、ニホンイヌワシが利用可能なギャップを人為的に創出することが必要であることを指摘した。 本研究は、新たな空間解析技法として注目されているレーザープロファイリングの技術を応用し、ニホンイヌワシが利用する林冠ギャップのサイズや形状を詳細に解明した。これらの成果により、ニホンイヌワシの保全策を具体的に計画することができた。また、レーザープロファイリングの技術が野生生物の生息地管理の分野において、極めて有用であることを示すことができた。
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