研究課題/領域番号 |
24780167
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
細尾 佳宏 信州大学, 農学部, 准教授 (80377184)
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キーワード | 木質形成 / 日周性 / 遺伝子発現 / 細胞壁形成 |
研究概要 |
本研究課題は、セルロースとヘミセルロースの生合成・供給における日周性を遺伝子レベルで解析し、木材細胞壁形成の日周性の詳細な機構を解明することを目的としている。本年度は、まずヘミセルロース生合成に関わる遺伝子発現について解析を行った。スギの苗木を12時間明期/12時間暗期に設定した人工気象器内で生育させ、照明の点灯または消灯直後から3時間間隔で分化中木部細胞を採取した。そして、針葉樹の主要ヘミセルロースであるグルコマンナンとキシランの生合成において基質の生合成、主鎖の伸長、そして側鎖の付加に関わる各遺伝子について発現の変動パターンをリアルタイムRT-PCRで調べた。その結果、今回解析した4遺伝子については、明確な日変動パターンは見られなかった。次に、合成されたヘミセルロースがゴルジ装置から細胞外(形成中細胞壁)へ輸送・供給される過程:エキソサイトーシスに関わると推定される遺伝子について同様の解析を行った。その結果、ゴルジ小胞の細胞膜への輸送、ゴルジ小胞膜と細胞膜の融合に関わると推定される遺伝子に照明消灯後3時間後に発現量が上昇するものが見られた。本年度の研究から、針葉樹(スギ)分化中木部におけるヘミセルロースの生合成や輸送・供給に関わる遺伝子発現の1日の中での変動について新規の知見を得た。これまでの研究で、分化中仮道管の二次壁新生面では昼(明期)にセルロースミクロフィブリルが観察され夜(暗期)にヘミセルロースを主体とする無定形物質が観察されることが示された。今回の結果は、ヘミセルロースの輸送・供給が暗期に活発になり、このことが暗期に無定形物質が観察されることと関連がある可能性を示唆するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(平成24年度)の信州大学農学部改修工事に伴う研究室の移転・再セットアップによる遅れを取り戻しはしたが、全体的な計画からすると未だやや遅れている。特に、リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現解析について繰り返し測定が十分には行えていない。試料の準備(試料採取、RNAの抽出、逆転写)は昨年度同様計画通りに行った。リアルタイムPCR解析は繰り返し作業のため、迅速に繰り返し行うことにより、信頼性の高いデータを取得し遅れを取り戻せる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
セルロース、ヘミセルロース(針葉樹材の主要ヘミセルロースであるグルコマンナンとキシラン)の生合成に関わる遺伝子群に関する解析を継続して行い、これらの発現の日周性について信頼性の高いデータを得ることを目指す。そして、ヘミセルロースの輸送・供給に関わる遺伝子についても繰返し測定を進めていく。苗木の栽培、試料採取などの遺伝子発現解析用試料の準備は、予定通り進んでいる。リアルタイムPCRを用いた解析をより精力的に行い、当初計画どおりに解析を完了させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画時よりも備品を安価で購入できたことにより、次年度使用額が生じた。 試料採取や遺伝子発現解析などの実験用消耗品と、学会での成果発表・情報収集のための旅費を中心に研究費を使用する予定である。研究の遅れを取り戻し、完了させるために、遺伝子発現解析用の試薬、器具類について前年度未使用額と合わせより多くの研究費を使用する予定である。
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