H25年度の計画は「試料評価」であり、セルロース薄膜状に固定化されたポリマーブラシの構造解析を主体として計画していた。平面タイプの合成条件については更に検討を続けた。またH24年度で部分的に先送りとした均一系反応(円柱タイプ)の合成についても引き続き検討を行った。得られたセルロース誘導体およびリビング重合物については昨年度同様にIR、NMR、GPC測定より確認を行った。 結果より、H24年度では詳細に検討できなかった円柱タイプについて合成条件を確立した。またH24年度で合成されていた平面タイプについても試薬、温度、および合成に用いる機材について総合的に再検討したところ、より大面積のフィルムを用いてリビング重合を行うことが可能となった。これにより、各種特性解析に同一のフィルムを個別に供することが可能となった。 本研究の目的の一つとして、透過光を用いたポリマーブラシ層の構造解析があった。偏光赤外分光測定を用いた解析を行うにあたって、最適なフィルム厚、合成条件などの検討を行った。結果より、基盤となるセルロース薄膜層を可能な限り薄くし、ポリマーブラシ層を測定可能な範囲で出来る限り厚く(=分子量をおおきく)したフィルムを合成することで、ポリマーブラシの特性を決定付ける分子鎖配向状態についてより詳細な知見を得ることが出来た。
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