木質文化財の調査は、その起源や歴史的背景、木材選択をはじめとして様々な知見を齎す。しかし木質文化財は文化財であるがゆえ破壊が禁じられており、非破壊手法が求められてきている。本研究では非破壊かつオンサイトでの樹種識別を可能とする手法の開拓として、近年様々な分野で活用されている近赤外分光法(FT-NIR)を活用した樹種識別について、手法の基礎的研究を行った。その結果、現生のニヨウマツ類(アカマツとクロマツ)では心材部分を用いることで識別が可能であった一方、歴史的古材のアカマツとクロマツではでは判別不可という結果がでるなど、課題も見つかった。その原因解明のためにも継続した研究の必要性が見出された。
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