研究課題
日本近海の海面水温の長期的上昇,また集中豪雨の増加等に伴う陸域の水循環の変化によって,沿岸漁業は今後ますます大きな影響を受けることが予想される.本研究では,これらの変化が水深の浅い沿岸部の海域環境にどのような影響を及ぼすかを予測し,その情報を持続的な漁業の維持に役立てることを目的として,能登半島の東岸に位置する七尾湾を対象とする二枚貝養殖適地選定モデルを作成した.平成26年度には陸から海岸線全体への淡水フラックスを計算するモデルを作成した.モデルによって予測した沿岸部表層の塩分低下は,現地観測においても確認された.また沿岸部表層の塩分低下と底層における貧酸素水塊の発達には明瞭な関係が見出され,モデルは底生二枚貝が生息する沿岸部の海域における貧酸素化予測にも有用であることが明らかになった.また平成26年度には底質および二枚貝を含む底生生物の多様度調査を湾全体において行い,海底の含泥率は40年前の調査結果と比べて高くなっていること,含泥率が特に高い場所では底生生物の多様度が低くなっていることを明らかにした.研究期間中に得られたデータに基づき,底質をあらかじめ入力したモデルに予測水温および淡水流入量を与え,底生二枚貝のHIS(生息適正指数)を場所ごとに求めるシステムを構築した.
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瀬戸内海
巻: 67 ページ: 62-64
Proceedings of the 15th International Symposium on the Efficient Application and Preservation of Marine Biological Resources
巻: 15 ページ: 97-101