瀬戸内海の播磨灘周辺域では,植物プランクトンの増減が海水の光透過性の経時変動を支配する第一義的因子になっていることが分かった。脱富栄養化に関連して同海域では今後,「植物プランクトンの減少による海底光環境の好転」が,最大3割程度の光減衰係数の低下を伴って起きる可能性が考えられた。 海底面に生息する底生微細藻類群集の光合成-光曲線を四季にわたり調べたところ,光合成の光飽和の目安光量が,概ね日中の現場海底到達光量に匹敵していることが分かった。将来的に海底光環境の好転が継続的に起きると,それに順応した,より強光嗜好型の底生微細藻類群集が海底面で優占する可能性が高い。
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