研究課題/領域番号 |
24780193
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
筒井 繁行 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (20406911)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 無顎類 / 表皮 / 防御機構 |
研究概要 |
当初、無顎類カワヤツメの皮膚細胞の分離を試みる予定であったが、同じ無顎類のヌタウナギも入手できたため、両種の皮膚切片を作製し、観察した。その結果、カワヤツメの表皮に関しては、既報通り複数の細胞種から構成されていた。一方、ヌタウナギの表皮は予想に反し、外見上は区別不能な、単一と思われる細胞から成り立っていた。そこで当初の予定通り、カワヤツメの表皮細胞の分離を試みた。 カワヤツメ皮膚から表皮を分離し、市販のキットを用いて膜タンパク質画分と細胞質画分を分離した。前者をモノクローナル抗体作製用の抗原用サンプルとして調整した。 同時に、本年度より当学部にレーザーマイクロダイセクションが導入されたため、新たに本機器を用いて、カワヤツメ表皮のメッセンジャーRNAおよびタンパク質を、細胞種ごとに分離、抽出することとした。本年度はその予備的実験として、周年的に入手可能なカワヤツメアンモシーテス幼生表皮の凍結切片サンプルを作製した。ヘマトキシリン-エオシン染色およびPAS染色の結果、アンモシーテス幼生の表皮は、成魚と同様に大型のSkein細胞と思われる細胞および上皮細胞の2種で主に構成されていることがわかった。粘液細胞やMerkel細胞はほとんど認められなかった。 カワヤツメの成魚は収穫時期が春のみであり、安定的な供給が難しいため、今後はアンモシーテス幼生のSkein細胞および上皮細胞の分離を行い、発現量に差のある遺伝子またはタンパク質を同定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者が所属する北里大学海洋生命科学部が本年度の8月に新校舎移転したため、機器等の移設に2ヶ月ほどかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
調整したカワヤツメ表皮の膜タンパク質を抗原とし、モノクローナル抗体を作製する。その後、Magnetic Activated Cell Sorting(MACS)システムを用いて、Skein細胞や上皮細胞を分離する。あるいはアンモシーテス幼生表皮の凍結組織切片からレーザーマイクロダイセクションを用いてSkein細胞および上皮細胞を切り出す。 これらの細胞種ごとにメッセンジャーRNAおよびタンパク質を抽出し、細胞種間で発現量のことなる遺伝子およびタンパク質を、サブトラクション法(あるいはHiCEP法)および二次元電気泳動法で解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
モノクローナル抗体の作製、すなわちハイブリドーマの作製、維持、および抗体のスクリーニングに費用がかかると思われる。また、備品としてCO2インキュベーターが必要となるため、購入費用も本研究費から捻出する。 レーザーマイクロダイセクションを用いた実験に切り替える場合、専用のスライドガラスが比較的高価となる。また、サブトラクション法やHiCEP法の試薬にも本研究費を使用する予定である。 なお、前述の通り、新校舎への移転に伴う研究遅延により当初計画した予算の執行が不可能となり、24年度研究費の次年度への繰越が生じている。
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