研究課題/領域番号 |
24780199
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
阿部 真比古 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 助教 (90470137)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アマノリ類 / 形態 / PCR-RFLP / 種判別 / 分類 / 環境 |
研究概要 |
海洋環境の変動により海藻養殖産業は逼迫した状態にある。本研究は,地域環境に対応し,地域に生育する未利用海藻資源を利活用するために,山口県内におけるアマノリ類を中心とした資源の探索と保存株の確立を行う。 平成25年4月1日現在,山口県内87地点においてアマノリ類の生育調査を行い,採集および分譲により県内64地点のアマノリ類を収集できた。これらのうち,瀬戸内海側東部4ヶ所7地点80サンプルについてDNAを抽出し,ミトコンドリア遺伝子領域を利用したアマノリ類の種判別を行った。その結果,アサクサノリ(Pyropia tenera),マルバアマノリ(P. suborbiculata),ウタスツノリ(P. kinositae)およびソメワケアマノリ(P. katadae)が生育していた。これまでの研究により,日本海側では,ツクシアマノリ,オニアマノリ,マルバアマノリ,ウップルイノリなどの生育が報告されているのに対し,瀬戸内海側では生育種が異なった。絶滅危惧I種に分類されているアサクサノリは,県内ではこれまでに下松市笠戸島深浦でのみで確認されていたが,今回新たな生育場所を発見することができた。また,東北地方から北海道に分布しているウタスツノリが瀬戸内海で採集されたため,今後形態的特徴などさらに詳細に調べる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングに関しては,今年度は海況の都合上,瀬戸内海が主となったが,20地点で行うことができた。これまでに山口県水産研究センターとともに実施してきたアマノリ類の生育調査を踏まえると全調査地点が87地点,アマノリ採集地点が64地点となり,ほぼ県内全域を網羅することができた。また,瀬戸内海側4ヶ所7地点80サンプルについてDNAを抽出し,種判別を行うことができた。今後は,種判別分析を進めると同時に,保存株の確立を行える見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
1)採集できたアマノリ類を用いて,形態およびDNA分析による種判別を実施し,県内におけるアマノリ類の分布の概要を明確にしていく。 2)生育個体数が少ない種あるいは養殖候補種となり得る種については,保存株の確立を試みる。 3)アマノリ類の生育調査が実施できていない県内の一部および日本海側で晩夏から初秋にかけて出現するアマノリ類について,分布調査と採集を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・調査が実施できていない地点のアマノリ類の分布調査および採集。 ・日本海側で晩夏から初秋にかけて出現するアマノリ類の分布調査と採集。 ・これまでに採集できたアマノリ類の形態およびDNA分析による種判別 ・保存株の確立に向けた室内培養
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