研究課題/領域番号 |
24780199
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研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
阿部 真比古 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 助教 (90470137)
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キーワード | アマノリ類 / 形態 / PCR-RFLP / 種判別 / 分類 / 環境 |
研究概要 |
海洋環境の変動により海藻養殖産業は逼迫した状態にある。本研究は,地域環境に対応し,地域に生育する未利用海藻資源を利活用するために,山口県内におけるアマノリ類を中心とした資源の探索と保存株の確立を行う。平成26年4月1日現在,山口県内94地点においてアマノリ類の生育調査を行い,採集および分譲により県内68地点のアマノリ類を収集できた。これらのうち,アマノリ類がまとまって生育していた瀬戸内海側および日本海側24地点約300サンプルについてDNAを抽出し,ミトコンドリア遺伝子領域を利用したPCR-RFLP法によるアマノリ類の種判別を行った。 その結果,瀬戸内海側ではアサクサノリ(Pyropia tenera),カイガラアマノリ(Py. tenuipedalis),マルバアマノリ(Py. suborbiculata),ソメワケアマノリ(Py. katadae),マルバアマノリ(Py. suborbiculata)およびスサビノリ(Py. yezoensis)が生育していた。また,日本海側では,ツクシアマノリ(Porphyra yamadae),オニアマノリ(Py. dentata)およびマルバアマノリが生育していた。瀬戸内海側では絶滅危惧I種に分類されているアサクサノリやカイガラアマノリにおいて,これまで報告されていない新たな生育場所を発見することができた。また,マルバアマノリが瀬戸内海および日本海側の多くの地点から採集された。さらには,一部の希少種において保存株を確立した。 一方で,PCR-RFLP法による種判別が困難な葉状体も確認された。日本海側においては,秋季から冬季にかけて同所的に生育するアマノリ類の種類が変化していることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングに関しては,これまでに山口県水産研究センターとともに実施してきたアマノリ類の生育調査を踏まえると全調査地点が94地点,アマノリ採集地点が68地点となり,ほぼ県内全域を網羅することができた。また,アマノリ類がまとまって生育している瀬戸内海側および日本海側24地点約300サンプルについてDNAを抽出し,種判別を行うことができ,一部の希少種においては保存株を確立した。これまでの調査結果を踏まえて,希少あるいは有望なアマノリ類において保存株の確立を行える見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
1)採集できたアマノリ類を用いて,形態およびDNA分析による種判別を実施し,県内におけるアマノリ類の分布の概要を明確にしていく。 2)生育個体数が少ない種あるいは養殖候補種となり得る種については,保存株の確立を行う。 3)今年度のアマノリ類の生育調査の結果,初秋から冬季にかけて種組成が変化していると思われる地点が見つかったことから,一部の海域においてはこの変化も追跡する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者の体調不良により参加予定であった学会への出席およびサンプリングを見合わせたため(東邦大学,東京湾) 日本水産学会秋季および春季大会,日本藻類学会への参加
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