研究課題
最終年度では、本研究室でクローニングされたメダカneu1遺伝子とそのポリペプチドに関する解析を行った。メダカNeu1はヒトと同様にカテプシンA存在下のみで活性化し、さらにリソソームへの局在にもカテプシンAを必要としていた。また3-シアリルラクトースを良い基質とし、同じシアリルオリゴ糖である6-シアリルラクトースにはあまり作用しなかった。一方同じ魚類であるティラピアよりNeu1遺伝子のクローニングおよび性状解析を行ったところ、メダカNeu1と似た基質特性を示すもののカテプシンによる活性化メカニズムはメダカやヒトとは異なるものであった。メダカNeu1の生理的機能を明らかにするため、Neu1特異的モルフォリノオリゴの設計を行い、メダカ受精卵へのマイクロインジェクションを行った。Neu1-MOで処理したメダカ受精卵は8dpf前後で発生速度が低下し、コントロールMOに比べて孵化率が有意に低下していた。そこでメダカ胚の解析を行ったところ、Neu1-MOにより眼球形成や心拍数に異常が認められることがわかった。さらに卵黄吸収の遅滞が生じており、レクチンブロット解析によりシアロ糖タンパクの蓄積が認められた。そこでNeu1と同様にリソソームへの局在を示すNeu4遺伝子についても特異的モルフォリノオリゴの設計を行い、Neu1-MOと同様にメダカ受精卵へのマイクロインジェクションを行った。その結果、Neu1同様にNeu4-MOにおいても糖タンパクの蓄積を伴う胚発生異常が認められた。以上の結果から、Neu1とNeu4の2つのシアリダーゼが魚類胚発生において重要であることが明らかとなった。
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