研究課題/領域番号 |
24780209
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
成田 拓未 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50614260)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | りんご / 輸出 / 日本 / 中国 / 競合 / 農民組織 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、1.成田拓未(2014)アジアにおける果実貿易の動向―日中両国産りんごの競合の展望―.開発学研究,25巻,1号,11-18、2.成田拓未「TPP議論がつきつける農産物流通・消費の課題~日本の農産物輸出と中国の協同組合運動を事例に考える~」『協同組合研究』33巻2号、78-88を発表した。 研究成果1では、日本は等級、階級の最上位のものを中心に輸出し、海外産りんごとの徹底した差別化によって、中国は最も廉価なりんごを輸出することによってそれぞれ海外市場で独自の地位を築いてきた。しかしながら、中国は新品種の開発と農民組織の普及を背景として、高級りんごを生産する条件を整えてきており、日本産りんごがこれまで築いてきた独自の地位を脅かす存在として台頭してくる可能性のあることを明らかにした。 研究成果2では、日本産りんごの特徴とTPP交渉参加国の関税等貿易障壁の実態を踏まえ、我が国りんご輸出拡大にとってのTPPの影響について考察した。TPP交渉参加国の日本産りんごに課する関税率は数%から高くても20%であり、ここ数年の為替変動率の範囲内にある。すなわち、りんご輸出にとって関税の撤廃は為替変動を下回る影響しか持たないこと、また"高級品”としての日本産りんごを消費する習慣のある地域は世界的に見て限定的であることから、TPPによるりんご輸出拡大には過大に期待をもつべきではないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年度の進捗状況の比して研究成果の公表が順調であるため。
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今後の研究の推進方策 |
日本産りんご輸出の研究蓄積が、本科研での研究成果を含め一定程度蓄積してきていることから、出版も念頭に置いた研究の取りまとめを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
尖閣諸島問題に端を発する日中外交関係の緊張によって生じた第1年度目の研究の遅延。
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次年度使用額の使用計画 |
適宜、海外現地調査を実施し、研究の最終取りまとめ、成果発表のために使用する。
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