平成27年度は、過去3年度にわたる研究成果を踏まえ、日本産果実輸出研究における今後の課題の洗い出しに取り組んだ。 近年、我が国りんご輸出は、数量、金額ともに大きく増大しているが、円安の進展、有力なりんご輸出国における不作等の外的要因によるところが大きい。円高基調への転換、有力りんご輸出国における生産量の回復等によっては、現状の中華圏を中心とした販路のみでは、早晩輸出市場の拡大は限界に直面すると考えられる。 そこで産地では、中華圏への一定のりんご輸出の実績を踏まえ、東南アジアへの輸出にも取り組み始めている。本年度調査対象としたりんご産地商人は、台湾や香港、更には東南アジアを含む亜熱帯、熱帯へと輸出販路が拡大、多様化する中で、りんごの鮮度保持剤の活用による製品戦略、JGAP、GGAP等の取得を背景とする貿易商社等川中、川下へプロモーション戦略の展開により、輸出先国の多様なニーズに答えようとしている。 当該輸出先国では、中国産りんごが市場シェアの多くを占めているが、現状では最も廉価なりんごが主である。高級りんごとして位置づけられる日本産りんごとは棲み分けられているのが現状である。中国産りんごが高級志向のりんご産地へと脱皮しうるか否か、また、脱衣した場合、それに対して日本産りんごが上記のような対応を含めてどのように対抗しうるのか、次なる研究課題として掘り下げていく必要のあることが明らかとなった。
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