研究課題/領域番号 |
24780210
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井元 智子 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (60550324)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 農業と環境 / ICT / 土地利用 |
研究概要 |
本研究は南西諸島におけるサトウキビ生産と圃場由来の赤土等流出による環境汚染問題を対象とし、産業維持と環境保全の均衡点を明らかにするものである。初年度は土地利用に着目した農家の生産状況データを収集した。当初は統計資料およびヒアリング・アンケート調査によるデータ収集を想定していたが、携帯端末を利用したサトウキビ生産支援ソフトしゅがなびの開発が初年度の研究開始に間に合ったため、しゅがなびを使用することで位置情報と農作業情報を大量に収集することが可能となった。特に収穫作業においては、収穫作業状況と収穫作業中止の理由を収集し、圃場状態の遷移を把握することに成功した。しゅがなび実験においては対象地域の農家と収穫機械オペレーターおよび製糖工場の協力を得て、携帯端末を合計27名に配布し、詳細なデータを収集した。27名は対象地域のオペレーター全員を含んでいる。なお、携帯端末に関して、購入とレンタルを検討した結果、レンタルのほうがコスト的に安く、また使用後の物品の取り扱いに関しても好ましいためレンタルを選択した。 情報端末を利用した農業への応用研究に関して、地域における対象作業者全員に協力を得た実験は少ないため、今年度の研究実績において、実際の導入に関しての問題点も明らかにすることができると予想している。 また、生産状況に関してしゅがなびでは収集不可能な過去の生産データは、対象地域の統計資料および生産関係者からのデータ提供により収集を行った。 サトウキビ圃場からの赤土等流出を防ぐ環境対策の一つとしてサトウキビ植え付け形態の一種である株出しが推進されている。確かに、株出しは赤土等流出効果は高いが、今期の調査対象地における収穫は2年連続の凶作であった。株出し圃場の増加による収量低下を今後検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生産データ収集は順調に進行しており、しゅがなび使用によって、今期収穫期開始から終了までを通して収穫作業データと位置情報データを収集することができた。また、過去の生産データについても製糖工場等の協力を得て、入手することができた。よって、生産分析に必要なデータはほぞ揃ったと言える。パネルデータ作成により農家行動変動モデルを作成中である。また土地利用状況をしゅがなびによって詳細に収集できたため、最終年度に予定していた空間情報モデルを先行して作成することとした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得られた結果を用いて、生産基盤を強固にするための収穫作業効率化の提案を行う。 次に得られた土地利用状況を用いて、空間情報モデルを作成する。サトウキビ圃場における土地利用状況の時系列変動、サトウキビ品種・土壌情報の属性を組み込み、調査対象地における、より現実を反映したモデルの作成を目指す。さらに農家の意向をアンケート調査によって実施し、得られたデータを空間情報も出るに組み込むことで、次にどうするのかという状態空間モデルを提案する。 次年度で上記の内容を終了し、最終年度は赤土等流出危険度マップおよび珊瑚の被度といった環境とのリンクを目指し、生産と環境対策および環境の最適解を導出することを目標としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は効率的に研究費の使用を行えたため、残額80,481円が生じた。 24年度の研究費の使用計画を述べる. 土地利用状況を解析するためのソフトおよび必要によっては視覚化を外注する。 調査対象地における農家の意向調査を行う。
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