研究課題/領域番号 |
24780210
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井元 智子 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 特任助教 (60550324)
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キーワード | サトウキビ栽培 / 収穫時の問題点 / 可視化 / 情報の共有 |
研究概要 |
3年間の研究期間のうち今年度は2年目に該当する.初年度に開発した携帯端末型収穫支援アプリ”しゅがなび”を用いて,サトウキビ収穫時における調査を実施した.調査対象地域の収穫機械のオペレーターに協力を得て,収穫期間開始から終了までのデータ収集を実施した.収集したデータを解析し,地域の問題点と共に考察することで,地域における収穫作業情報の共有が不足していることが明らかになった.情報を共有するために可視化を実行し,論文「情報の可視化・共有化のためのサトウキビ収穫支援アプリ"しゅがなび"の開発と導入における問題点」が農業情報学会誌に採択された.要旨は下記のとおりである.「農業分野におけるITの適用は集約的作物に多く,粗放的作物にはほとんどみられない.本研究では,南西諸島における主要作物のサトウキビを対象とし,粗放的作物に対するITの活用、特にリアルタイム情報共有の効果を検討する.サトウキビは収穫後に製糖工場にて加工される.この工芸作物としての特徴に着目し,サトウキビ収穫作業を支援するための携帯端末型アプリケーション“しゅがなび”を開発した.収穫機械の作業オペレーターが“しゅがなび”を使用することで,その位置情報と作業情報がサーバーに送られ可視化される.“しゅがなび”を使用することにより,天候などによる収穫計画の遅れに対して収穫機械を適正に,かつ迅速に再配置するための支援が可能となった.次に,収穫作業に関係する農家・オペレーター・製糖工場の,収穫期間において刻々と変化する収穫状況に関する情報の共有状況を精査した.その結果,一部でのみ共有されている情報が多く,“しゅがなび”による情報の共有化が,収穫順番における三者の合意形成に活用可能であることが示唆された.最後に,関係者全員が収穫期間を通して“しゅがなび”を使用することにより,実際の導入における問題点を明らかにした.」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
しゅがなびの開発を終了し,南西諸島の一つである石垣島において稼働している全てのハーベスター(サトウキビ収穫機械)においてしゅがなびの実証実験を実施した.その成果をまとめ,サトウキビの収穫状況を把握しその問題点を明らかにした論文「情報の可視化・共有化のためのサトウキビ収穫支援アプリ"しゅがなび"の開発と導入における問題点」農業情報学会誌,第22巻,第4号,pp236-246,2013 が採択された.このように開発よび調査を着実に進め,その成果を論文採択という形にしている.よって,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
石垣島における収穫行動の把握および問題点の抽出はクリアできたため,他の南西諸島における収穫行動の把握および問題点の抽出を実施する.持続的なサトウキビ栽培管理に向けた地域・環境経済分析に情報可視化と共有の着眼点から,研究を推進する.その際,地域による違いを踏まえた分析を実施する予定である.なお,すでに他島における収穫行動の調査はスタートしており,データの蓄積を進めているところである.
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会にて発表を行う予定であったが,国内学会誌への投稿へと計画を変更したため. 最終年度において海外への発表を検討している.
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