本研究は,生産性の異なる日系食品企業の直接投資の目的と投資先地域の選定方法について明らかにし,直接投資が今後我が国のフードシステムや投資先経済に及ぼす影響を考察することを目的とする.分析の結果,生産性の高い地場企業ほど,農業の生産性向上や関税削減を通して農産物の価格低減に積極的に取り組む国々に参入する傾向にあり,今後はそうした国々からの食品輸入が増えると考えられる.一方,生産性の高い日系食品企業の現地市場への参入により,競合する地場の食品企業は市場からの撤退が促される.その結果,現地市場で操業する食品企業の生産性が平均的に高まり,現地の経済状態の改善につながると期待される.
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