日本漁業は縮減傾向にある。こうしたなかで漁業者の水産教育機関で学ぶ意欲は低下し、漁業就業と学歴との結びつきは弱まっている。優位な産業としての遠洋漁業の衰退がその要因にある。近代において遠洋漁業に人材を輩出した水産学校が旧士族層からの支持を得たことや、200カイリ体制の確立まで水産高校がその存在感を発揮したこととは対照的である。 ただし今日では、日本の沖合漁業を支えるインドネシア人労働者にとって学歴が重要になっている。技能実習生として来日するには、国公立の水産高校卒業の学歴が求められるためである。産業構造の変容とグローバルな労働力移動が、漁業と学歴との関係に影響を与えることが明らかになった。
|