研究課題/領域番号 |
24780218
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
渡部 岳陽 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (10371014)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 集落営農 / 交付金マネジメント |
研究概要 |
秋田県下の集落営農組織にアンケート調査を実施し、その実態と動向を探った。交付金の配分実態に焦点を当てると、組織に支払われる交付金が実質的に個別農家の収入になる形態の組織が過半数を占めていた。こうした組織の内部においては、構成員個々の営農が継続しており、組織経営としての内実が伴わない事態が想定された。 それを確かめるべく、当該組織の中から、大規模な農事組合法人と小規模な任意組合型の組織をピックアップし、実態調査を進めた。 まず、大規模集落営農法人の分析から、様々な他団体との連携・協力関係を構築しながら、法人名義での生産物の販売・マーケティング活動、農地利用・作物栽培のマネジメント、構成員への所得還元、アグリビジネス事業の展開、これらを通じて地域農業の維持・発展を図っている姿が明らかとなった。このような「効率」や「規模メリット」の追求を、構成員である農家への所得還元や彼らの農業意欲の増進と両立させながらすすめており、構成員が稲作に関わり続けることで、彼らにとっては収量・所得向上へのインセンティブが働くとともに、結果的に法人の米取扱量増加と利益拡大につながっていた。また、農作業を行うことに対して手厚く賃金を支払うことにより、構成員は所得を確保することができ、法人は水田管理作業の担い手や事業拡大を図るための労働力を確保することができていた。 さらに、法人化していない任意組織型集落営農組織の設立後6年間の軌跡を明らかにした。組織の6年間の展開過程を振り返ると、組織としての「一体感」醸成とそのもとで成長する構成員の姿が浮かび上がった。「一体感・信頼感のある集落営農組織」という枠組の中で、実態に合わせて構成員個々の取組レベルを向上させながら、組織内部の共同化も徐々に深化させており、集落営農組織の無理のない発展を実践していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた、集落営農組織の交付金配分実態の把握と現地調査については、概ね当初の見込み通り完了することができた。ただ、交付金配分の実態については、農家レベルまで把握することは難しいこともわかり、次年度に向けての課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目は、初年目に得た分析結果をとりまとめるとともに補足調査を実施し、交付金マネジメントを行う際のポイントを整理する。また、その結果をふまえて、持続可能な地域水田農業構築に向けて集落営農組織が発展していく際に、どのように交付金を配分し、活用していけば良いか、適切な交付金マネジメントのあり方を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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