研究課題/領域番号 |
24780226
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山本 淳子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 主任研究員 (00355471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 新規参入 / 就農 / 第三者継承 |
研究概要 |
平成24年度は、新規参入ルートの各ルートにおける経営資源獲得の特徴を明らかにすることを目的に、特に第三者継承を対象として、新規参入者及び就農支援を行う関係機関への聞き取り調査を行った。また、独立就農、フランチャイズ型組織の2ルートについて、文献調査及び研究実績のある研究者との意見交換を行った。 新規参入の各ルートの特徴として、次の点が明らかになった。まず第三者継承は、経営資源を一括して移譲者から取得するため、はじめから大規模で経営を開始することが可能であるが、移譲者との信頼関係が不可欠であり、また、取得費用が高額になったり高い技術力や経営管理能力が求められる場合が。さらに経営開始後すぐに経営内容を大きく変えるの困難であり、経営内容の自由度には一定の制約がある。 独立就農は、各種経営資源をそれぞれ別のところから取得するため、特に無形資源(技術、信用)の確保には地元農業者や関係機関との良好な関係作りが重要となる。また、経営内容の自由度は比較的高い。そのため手持ち資金等に応じて小規模から経営を開始することも可能であるが、それ故事前の経営計画の策定がより重要となる。 フランチャイズ型組織への参加による就農では、親法人において事前に研修を受ける中で技術習得や資金蓄積を図り、その後法人の斡旋や支援を受けて農地等を取得する。また、経営開始後は法人のネットワークの中で経営を行うため、販売先が限定される場合もある。したがってこのルートでは、法人との信頼関係が不可欠であり、また経営内容の自由度には一定の制約がある。 このほか平成24年度には、北海道及び鹿児島県の就農相談員への聞き取り調査を行った。新規参入希望者の適性に関して、希望する営農形態が明確化している場合には第三者継承に向けて移譲者とのマッチングに入るが、明確でない場合には独立就農を薦めるという判断基準があること等を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初24年度計画として、参入ルート別に経営資源獲得の特徴を明らかにすることと、新規参入者適性に関する予備的考察を行うことの2点を上げていた。 前者については、参入ルート4つのうち3つについて検討を行った。1つ(農業法人への就職後にそこの経営者になるルート)は具体的な検討に至らなかったが、このルートでの就農自体が非常に少ない状況にあり、現状では主要な参入ルートになっていないことを踏まえると、研究目的は概ね達成されたといえる。 後者の参入者適性に関する予備的考察についても、就農相談員への調査により概ね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は次の3つの観点から、新規参入希望者の参入ルート別適性の解明に接近する。 まず、新規参入者の就農から経営確立までの過程について、引き続き実態を把握する。第三者継承は新しい参入ルートであることから特に注目して調査を行う。これにより、就農実態から見た参入者適性を把握する。 また、各地の就農相談員への聞き取り調査やアンケート調査等を行い、就農相談場面で参入希望者の適性把握をどのように行っているかを明らかにする。これにより、就農相談現場で経験的に蓄積された参入者適性を把握する。 さらに、様々な産業・職種における職業適性を農業にも適用するため、産業・組織心理学等の文献調査やアンケート調査等を行い、これらをもとに心理学的観点からの参入者適性を把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額は、例えば旅費において格安航空券を利用するなど、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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