本研究では、新規参入者の経営資源獲得プロセスの特徴を複数の新規参入ルートで比較した。第三者継承と農業経営を創業する場合とでは、有形の経営資源の獲得に要する費用は、初期投資額と追加投資額を合わせると大きな違いはない。ただし、稲作における農地集積の費用や果樹の育成費用は、第三者継承の方が少ない。第三者継承では、新規参入者は栽培技術や経営ノウハウを農場の前経営者から受け継ぐことができるが、譲渡価格の交渉や数年にわたる信頼関係の維持が必要である。創業では、有形・無形の経営資源を独自に獲得するため、十分な所得が確保できるまでに何年もかかる場合がある。
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