研究課題/領域番号 |
24780228
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インドネシア / ラオス |
研究概要 |
流域レベルにおける洪水・渇水リスクと窒素負荷量の評価を目的とし、平成24年度は以下のような方法で研究を行った。まず、インドネシアのチタルム川流域を対象として水循環モデルを構築および適用を行った。チタルム川流域は西ジャワ最大の河川であり、貯水量5億m3以上のダムを3つ有し、首都ジャカルタの上水供給のうち80%を占める最重要河川である。一方、上流に位置するバンドン市からの都市排水や農地からの排水により水質汚濁が進行しており、水資源の安全性が危惧されている流域でもある。水循環モデルには、流域の地形・土地利用・土壌特性などの空間情報データが入力可能であり、流域内の水資源量の空間分布を評価可能な分布型の流出解析モデルを用いた。モデル構築に必要な気象データ、河川流量や雨量などの水文データ、水質データ等については現地調査を行い、データ収集を行った。特に水質データについては過去の観測データが乏しいため、農業先進地域であるチアンジュール周辺の排水河川にて採水を行い、窒素濃度の測定を行った。その他、人口や家畜頭数などの点源データについてはFAOのデータを収集し分析を行った。同様に、次年度以降にモデル構築を行うラオスのナムグム流域についても現地調査を行った。さらに、過去の長期的な降水量および気温の変化について、全球モデルの出力結果から対象地域であるインドネシアおよびラオスのデータを抽出し、それぞれの特徴について分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
河川流量の実測値はチタルム川の本流についてはいくつか存在するが、支流については極めてデータが乏しい。そのような状況の中、支流レベルでの水資源量評価の推定を目的として、本年度に分布型の流出モデルを適用したことにより、流域内の水資源の分布について時間的・空間的に把握可能となったため。また、この研究成果をバンドン市にある公共事業省水資源研究センターにおいて提示し、ダムの効果的運用および観測点の効果的な配置について提案を行えたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度については、土砂量や窒素といった水質項目についてのモデル化を行う。また、モデルをラオスのナムグム流域に適用し、その汎用性を示す。それに伴い、モデル開発に必要なデータについて現地調査により収集を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初は3月にインドネシア調査に行く予定であったが、研究協力者が日本に3週間滞在することとなったため、予算を繰り越すこととなった。また、それに伴い本年度の9月に予定していた調査を実施できるように研究協力者との調整を行った。
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