近年日本各地で導入が進む水稲の「乾田不耕起V溝直播農法」が、農村生態系の植物種多様性と水稲栽培の持続性に及ぼす影響を評価した。植物種数および希少種生育の観点から、本研究は地域に慣行農法と本直播農法が混在する状況を維持することが、生産性の向上と生物多様性保全を両立させる現実的手段として有効であることを示唆するものであった。一方で、直播農法を連作しつづけることでイネ科雑草の増加に伴う雑草害の影響が懸念されることもわかった。そのため、本直播農法の連作にあたっては、3-4年おきに慣行農法を挟む輪作体系を導入するのが望ましいと考えられた。
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