本研究では、農村地域の生態系や生物多様性の保全に寄与するポテンシャルを持つ農地を、「自然的価値の高い農地」と定義し、その空間的分布及びその形成に与える政策的効果の解明を試みた。研究の結果、このような農地は狭小な農地の多く残る中山間地域に多く存在しており、生物多様性だけでなく防災的な役割を担っているが、存続の危機が危ぶまれている。我が国の中山間地域等直接支払や農地・水保全管理支払交付は、前者は条件不利な狭小な農地の保全において、また後者は中~大規模の農地の保全に有効であり、共に多面的機能の維持だけでなく、自然的価値の高い農地の保全にも寄与していることが明らかになった。
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