粒径0.1mmのガラスビーズを用いて不飽和透水試験を行った.前年度までと同様に,OTS(Octyltrichlorosilane)を用いて疎水化したガラスビーズを0から100%まで25%ずつ混合割合を変化させたものを試料とし,DIK-4171を用いて定常法で測定をした.また,通常(親水性)の多孔質媒体の不飽和透水係数推定モデルであるMualemモデルを,疎水性粒子を含んだ多孔質媒体をも対象とした拡張モデルを定式化し,測定結果との比較を行った.その結果,ここで提案した拡張モデルは過大に推定していた.この測定値と推定値の乖離は,多孔質媒体の間隙はネットワーク状の構造であるのに対し,Mualemモデルでは並行管モデル(1次元ネットワークモデル)を採用していることに起因している. 間隙ネットワークモデルに関して,前年度までは規則的に間隙がつながっていると仮定した単純立方格子型のネットワークを用いていたが,本年度はDEM(個別要素法)を用いて粒子をランダム充填した多孔質媒体モデルから,修正Delaunay法を用いて間隙ネットワークを抽出した.これにより,より実際に近い間隙ネットワークを用いて,多孔質媒体の水理特性の推定が可能となった.間隙ネットワークへの水の浸透現象のモデル化として,インベージョンパーコレーションという疑似動的モデルを採用した.インベージョンパーコレーションでは,気液界面が存在する毛管の中で,もっとも浸透しやすいものから逐次浸透していくものとしてモデル化されているのに対し,同時に複数の毛管で浸透が起こることとした一般化インベージョンパーコレーションを提案した.これらは,pF試験における吸引法と砂柱法に相当するとしてよく,徐々に水の圧力を変化させるか所定の圧力を一気に与えるかによって飽和度が変わることが示された.
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