研究課題/領域番号 |
24780233
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
齊藤 忠臣 鳥取大学, 農学部, 講師 (70515824)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 樹体内水分 / 水の安定同位体比 / 乾燥地 / 樹木 / 誘電率水分計 / スーダン / アメリカ |
研究概要 |
本研究の目的は,土壌水分・地下水のモニタリングと樹体内水分モニタリング,そして水の安定同位体比分析を組み合わせることにより,通常は解明が困難な乾燥地樹木の時間的・空間的な水利用戦略,すなわち樹木が「いつ」「どこから」「どれくらいの」水を「どのように」使うのかを解明することである.対象とする樹木としては,シリアの主要農業生産物であるオリーブとスーダンの外来侵入種であるメスキートを予定していたが,シリアの政情が不安定なことから,新たにアメリカの在来種であるメスキートとアメリカの外来侵入種であるタマリスクを対象に加えて研究を行った. 樹体水分モニタリングと同位体分析のためのサンプリングサイトを,アメリカ・ネバダ州の1サイト(Virgin river)ならびにスーダン・ハルツーム近郊の3サイト(Alkadaro, Soba, Alrawakeeb)で設営した.樹体内水分モニタリングには,誘電率水分計GS3(Decagon社)を使用し,同様のセンサーを用いて土壌水分・塩分・温度モニタリングも実施している.なお,誘電率水分計を用いた水分モニタリング結果には,気温・地温による影響(温度依存性)が見られたため,これを校正する手法の開発も行った. 水の安定同位体比分析については,各サイトにおいて雨水・地下水・土壌・樹体等のサンプリングを行い,土壌・樹体サンプルについては三重大学の真空蒸留装置を用いて水を抽出した上で,安定同位体比質量分析計を用いて酸素・水素の同位体比を測定した. 結果より,主に地下水に依存していると考えられているスーダンのメスキートが,雨期において土壌水分を使用していることや,アメリカのメスキートとタマリスクが共に塩濃度の高い浅い地下水を利用しており,メスキートがタマリスク同様高い耐塩性を持つことなどが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では,初年度は主に国内において,25年度後半からの海外実験の下準備となる研究を行う予定であったが,海外研究協力期間(乾燥地研究所:DRI,スーダン)や研究協力者らのサポートもあり,初年度から2か国計4か所のサイトを立ち上げることができた.特に,当初予定していたシリア(国際乾燥地農業研究センター:ICARDA)での実験については,同国の政情不安に伴い実施不可能となったものの,代わりにアメリカ(砂漠研究所:DRI)において別途サイトを立ち上げることができた. いずれのサイトにおいても,モニタリングやサンプリングが概ね良好に継続されており,初年度の現時点までで得られた結果からも,既に興味深い知見等が得られている. 以上のように,研究は当初の計画以上に順調に進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
アメリカのサイトについては,現地研究機関の予算上の問題等から今後継続して調査サイトを維持することが難しいため,次年度冬季を目処に撤収する.スーダンについては,本研究の中心となる調査地として,今後ともモニタリング・サンプリングを継続して行う.シリアで断念したオリーブを対象とした研究については,同国の政情回復の可能性が低いことから,イタリア・CIHEAMにおいて実現可能か検討していく. 安定同位体比分析に必要な土壌・樹体サンプルからの水抽出については,これまで三重大学内の真空蒸留装置をお借りして実施してきたが,今後多くのサンプルを処理する必要があることから,自前での水抽出が可能となるよう,次年度中を目処に鳥取大学農学部内にて同装置を組み上げる. 調査対象地が乾燥地であり,温度・塩分の変動が激しい条件であるため,誘電率水分計の温度依存性・塩依存性とその校正法の研究を継続して行う. 得られた研究成果については,国内外の雑誌・学会等で積極的に発表していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度冬季にアメリカのサイトの撤収ならびに機器の撤収を行う.可能であれば,2013/11/19-22にテキサスで開催される Desert Technology 11 International Conference に参加し,成果発表を行うと同時に,ネバダへと移動してサイトの撤収を行う.その他,国内外の学会発表を3件行う予定である. 同位体分析のための水抽出に必要な真空蒸留装置のパーツを購入し装置を組み上げる.また,同位体分析に必要な各種消耗品や,スーダンにおけるモニタリングに必要なセンサー類の追加購入を行う. また,成果発表に伴う論文投稿料,英文校閲費の支出や,海外からの機材・土壌・樹体サンプルの輸送費等の計上を予定している.
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