研究課題/領域番号 |
24780236
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
渡邉 園子 広島大学, 国際協力研究科, 特任助教 (80403616)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生物多様性保全 / 地理的分布構造 / 水生植物 / 生息地モデル |
研究概要 |
本研究では、東広島市の西条盆地に多く分布するため池の生態系の特性を明らかにすることを目的とし、水生植物の生息地としてのため池の地理的分布構造の評価と、水生植物と各種環境要因の関係、生息適地について分析を行う。ため池のような地域に点在する生育地では、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性は認識されているものの、地域スケールでの具体的保全方法は明らかになっていない。また、地理的分布構造や生息に適した環境に関する情報は、保全計画において重要な資料となる。水生植物の生息地としてのため池の分布構造の分析については、RiplayのK関数、水生植物の生息地の環境要因の分析にはMaxentを使用した。ため池の分布構造の解析では、西条盆地のため池は500m程度の集中斑を形成していることを明らかにした。また、水生植物の種の出現傾向で分けた4つのため池タイプのそれぞれの分布相関を分析、外来種が出現するため池は多様性が高いため池とは排他的分布をしていることなどを明らかにした。水生植物の生息地の解析では、環境変数として、標高データから算出される環境要因や周辺の土地利用状況、ため池の形状指数などを変数として使用し、水生植物の分布を規定する要因の解明と、生育適地モデルの作成を行った。また、種毎に作成した生育適地モデルの変数の比較を行い、それぞれの種の生態的特性と合わせて空間分布が水生植物の存続に与える影響を考察した。さらに、生育適地における各種の分布、他の生育適地との分布構造の相関関係、絶滅危惧種と外来種などの分布、生息適地条件に着目したため池の保全の方法について議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、地理的分布構造と生息地モデルの作成を行う計画であったが、生育適地モデルでは、多くの種は出現頻度が少ないことから、当初計画していた絶滅危惧種・貴重種の生息地モデルの作成が十分に出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
生息可能地のモデルの精緻化を行う。特に、実際に分布している個々のため池をバックグラウンドとして用いた場合、地域全体をバックグランドとして用いる場合など、いくつかのケースで検討を行い、バックグラウンドの選択がモデルに与える影響も検討し、より精度の高いモデルの構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、生態学会での発表を予定しており、東広島からの会場までの旅費が必要である。また、本研究を学会誌に投稿するために英文校閲料が必要である。
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