本申請の研究では、植物工場で栽培されるトマトを対象に、近赤外光を用いた果実内部の品質評価を利用し、トマト果実の芯腐れ果実の非破壊検出方を確立することを目的としている。 実験は愛媛大学農学部に設置された知的太陽光利用型植物工場で栽培されるトマトを対象に行った。現在までの植物工場での芯腐れトマト果実の発生状況により、第一花房に多く芯腐れ果実が発生することから第一花房を対象に実験を行った。また、昨年度は芯腐れ果実のサンプルを十分に得ることができなかったため、発生時の環境条件を把握するために、植物工場内の日射量、温湿度も計測した。日射量は、全天日射計を用いて計測し、温湿度は熱電対を用いて計測した。また、計測されたデータは、データロガーを用いて自動計測した。その結果、トマトの苗を定植後、第一花房ができるまでに、日射量が高く、高温期が長く続く環境下で植物体を栽培すると、芯腐れ果実が多く発生する可能性が高くなることが明らかとなった。 平成26年度は引き続き、分光器を用いて、スペクトルの計測を行い、芯腐れ果実の非破壊検出を行った。さらに、トマト果実の非破壊計測法として、画像を用いた芯腐れの検出を行うため、光源の検討と近赤外カメラを用いた芯腐れの画像検出についても検討した。芯腐れが中心部にある(果皮からの距離が長いもの)については、検出が困難であったが、果皮表面に近い芯腐れは画像を用いて検出することが可能であることが示唆された。
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