研究課題
初年度はインデンテーション試験によって得られた変位荷重曲線からバイオフィルムの硬度を算出することは可能であったが、バイオフィルムの表面の水分の影響によるノイズが正確な測定を妨げていたことから、25年度はバイオフィルムの表面の水分を除去して硬度測定するとともに、膜厚と硬度の関係について検討した。用いた細菌は青果物表面にバイオフィルムを形成しやすいとともに、食中毒原因菌で知られているPseudomonas fluorescensを用い、トリプチケースソイブロス中にて、ポリスチレン小切片表面上に形成させたバイオフィルムを硬度測定サンプルとした。バイオフィルムの形成に用いたポリスチレンと、バイオフィルムそのものの圧縮剛性の値を比較することで、膜厚を算出し、これと硬度との関係を求めたところ、膜厚が薄いバイオフィルムは、硬度が大きくなる傾向を示したことから、食品の製造環境等で形成される小さなバイオフィルムは、物理的な処理法で除去し難いことを示すものであり、物理的・化学的に適切な除去方法を見直す必要があると考えられる。この傾向は、金属イオンの影響を検討するために、塩化物を培養培地に微量添加させて形成させたバイオフィルムでも、膜厚の増大のみならず、硬度も大きくなる傾向が示された。このことは、鉄やアルミが多く使用される製造現場においても、機械的に高強度なバイオフィルムが形成されている可能性を示すものであり、適切に対応することが重要である。
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農業食料工学会九州支部誌
巻: 62 ページ: 1-5
Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University
巻: 58 ページ: 125-129