作物群落内の熱動態を詳細に把握するための計測装置を開発した。前年度に試作した群落内気温の鉛直分布を連続測定するための計器(センサ)をもとに、同センサとデータロガーを接続し、データロガーで取得される気温の高周波データからSurface Renewal解析によってフラックス密度を自動計算するためのプログラムをVBAで作成した。プログラムでは、気温の変化パターンを直角三角形型の構造関数に当てはめて自動的に解析することで、各高度における30分毎の顕熱フラックス密度を計算することができる。また、センサを野外で簡便に使用できるようにするため、棒状のセンサを地面上に固定するための土台を作成し、極細熱電対を破損しにくいよう加工するなどの工夫を施した。これにより、野外に本センサとデータロガーを設置して得られたデータを表計算ソフト(EXCEL)で処理することで、作物群落内の熱動態の計測からフラックス算出までの一連の解析を簡便に実施することが可能となった。さらに、本研究の過程において、熱電対に特殊な加工を施して複数の感温部のデータを解析することで、野外の気温を通風装置なしに精度良く計測できることが明らかになり、当該測定装置および測定手法について特許出願した。
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