高温環境下での作物の被害発生を左右する群落内の熱の動態を解明するため、局所的な熱輸送量(フラックス)を計測する新たな手法を開発した。化学工学分野で発達したSurface Renewal解析を植物群落に適用し、イネ、ダイズ、トウモロコシの群落で取得した気温の変化パターンから、顕熱フラックスの空間的分布を評価した。その結果、植物-大気間の熱輸送に寄与する空気塊はその一部のみが最下層まで達しており、群落下層ほど次の空気塊が侵入するまでの時間が長いことが示唆された。また、同手法によって野外で簡便に群落内の顕熱フラックス密度の鉛直分布を測定するための装置を試作した。
|