研究課題/領域番号 |
24780269
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山城 秀昭 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60612710)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | piggyBacトランスポゾン / ニワトリ / 遺伝子導入 / EGFP |
研究概要 |
本研究は、次世代型動物産業の創出に実用可能な遺伝子改変ニワトリ作成の基盤生殖工学技術を構築するため、ニワトリ生体の組織や器官とその生産物である鶏卵中に効率的に安定して、外来遺伝子であるEGFPが導入されたpiggyBacトランスポゾンを用いたプラスミドDNAと個体作成法を開発する。[方法]レシピエントとなる鶏卵は、受精後1日のジュリア種卵を用いた。プラスミドDNAは、胚盤葉に2-4μl注入した。その濃度は、0、0.5、1、5、15、30および50 ng/μlに調整した。供試したレシピエント卵の個数は、それぞれ114、101、69、93、155、146および137個用いた。プラスミドDNAを注入した受精卵は、孵卵器で孵化直前の19‐20日間孵卵培養した。胎児における導入されたEGFP遺伝子の発現は、組織からDNA抽出後PCR法により確認した。[結果]孵卵培養後のレシピエント卵の生存率は、それぞれ0、1、3、2および1%であった。胎児の組織からDNA抽出後PCR法にてEGFP遺伝子の発現を確認したところ、全ての処理区において、4(4/101個)、7(5/69個)、14(13/93個)、11(17/155個)、12(18/146個)および11(15/137個)%の割合で観察された。特に、プラスミドDNAの濃度が15-30 ng/μlにおいて、生存率及びEGFP遺伝子の発現は、他の濃度の値に比較して差は認められなかったが、孵化直前の胎児の生殖巣においてはEGFP遺伝子の強い発現が認められた。以上の結果より、15-30 ng/μlに調整したpiggyBacトランスポゾン-プラスミドを胚盤葉に注入した場合、生存率および遺伝子導入率は低いが、孵化直前のニワトリ胎児および生殖巣に外来遺伝子を導入することが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度における実験結果により、15-30 ng/μlに調整したpiggyBacトランスポゾン-プラスミドを胚盤葉に注入した場合、生存率および遺伝子導入率は低いが、孵化直前のニワトリ胎児および生殖巣に外来遺伝子を導入することが可能であることが明らかにすることができたため、「研究の目的」の達成度は、おおむね順調に進展していると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、15-30ng/μlに調整したpiggyBacトランスポゾン-プラスミドをピエゾ注入法およびエレクトロ コーポレーション法を用いて、より生存率および遺伝子導入率を上げる実験を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に実施したpiggBacトランスポゾン-プラスミドDNAの濃度を決定する実験には、815個のニワトリ受精卵を用いたため解析に時間を費やした。平成25年度の研究費は、ニワトリ受精卵、マイクロマニプレーター、エレクトロコーポレーションに必要な消耗品、および解析費に使用する。
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