研究課題/領域番号 |
24780273
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
金田 正弘 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80469840)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | クローン / エピジェネティクス / DNAメチル化 / インプリント遺伝子 |
研究概要 |
体細胞クローン雄牛(9頭)、および非クローン雄牛(8頭)から末梢血および精子DNAを回収し、それぞれの遺伝子についてDNAメチル化の状態を解析した。その結果、反復配列であるSatelliteI領域は末梢血でクローン牛・非クローン牛とも90%程度のメチル化状態であったものが、精子では20-30%程度に脱メチル化されており、SatelliteII領域も同様に末梢血で70%程度のメチル化が精子では20%程度になっていることが分かった。このメチル化の状態にクローン牛・非クローン牛間での違いは無かった。父由来インプリント遺伝子であるH19は末梢血で30-40%のメチル化であったが精子ではクローン牛・非クローン牛ともにほぼ100%メチル化されていた。一方、母由来インプリント遺伝子であるPEG3は末梢血で60-70%程度のメチル化であったが精子ではクローン牛・非クローン牛ともほとんどメチル化されていないことが分かった。 同様の解析を体細胞クローン雌牛の卵子を用いて行った。卵子の場合は、回収できるサンプル量が精子に比べて極めて少ないため(1頭あたり約20卵子をOPUにより回収)、反復配列のメチル化のみを解析した。SatelliteI領域は雄牛同様末梢血で90%程度のメチル化が、卵子では60-70%に低下していた。SatelliteII領域は末梢血で70-80%程度のメチル化が卵子では40%程度に低下していた。卵子でのメチル化状態にクローン牛・非クローン牛間での違いは無かった。 これらの結果から、体細胞クローン牛の精子・卵子におけるDNAメチル化状態は、非クローン牛と同様のレベルにあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が10月で独法研究所から国立大学法人へ異動したため、異動後の研究の立ち上げに時間がかかったものの、主なデータは異動前に解析を終えていたため、現在までの達成度については、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究計画に記入した幼牛生殖細胞単離方法の開発を行い、精子や卵子が形成される前の幼牛から生殖細胞を単離する手法を確立する。そのために、生後直後の精巣はすでに入手しており、主にレーザーマイクロダイセクション法を用いて、精巣組織切片から生殖細胞(精原細胞)を単離してDNAを抽出し、インプリント遺伝子や反復配列などのDNAメチル化状態を解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
DNA抽出やバイサルファイト処理を行うためのキット・試薬類、PCRを行うためのDNA増幅酵素類、プラスチック製品などの消耗品を物品費から購入する。また、国内学会において研究成果を発表するための旅費を計上した。DNAシーケンス解析については、依頼分析を行う予定である。
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