研究課題
平成26年度は前年度に作出に成功した成体マウス脳神経細胞由来クローンの論文をまとめるために、海馬細胞由来クローン胚、プルキンエ細胞由来クローン胚を作出し、胚移植実験、ライブセルイメージング解析さらにマイクロアレイ解析による遺伝子発現解析を行った。その結果、これらの細胞由来のクローン胚ではこれまで用いられていた卵丘細胞やセルトリ細胞に由来するクローン胚よりも遺伝子発現が改善されており、ドナー細胞の抑制的ヒストン修飾 (H3K9me2)はクローン胚盤胞の遺伝子発現と相関があることがが示唆された(Mizutani et al. Biol. Reprod 2015)。凍結乾燥精子については前年度に引き続き顕微授精胚のライブセルイメージング解析を凍結乾燥精子のサンプル数を増やして行った。受精後のメチル化状態変化についてもイメージング解析をすすめている。さらに、クローン胚の大部分で起きている染色体分配異常(ACS)が起きる原因を探るため、注入直後のクローン胚のライブセルイメージング解析を行ったところ、ドナー核注入から時間が経過すると、微小前核を形成することがわかった。さらに微小前核を形成したクローン胚の80%近くがその後の分割でACSを起こしていることが明らかとなり、微小前核形成がクローン胚の染色体異常の一因となっていることが示唆された。これらについては論文発表の準備を進めている。また、イメージング解析後のクローン胚からのntES細胞の樹立をすすめて、初期発生過程で起きた異常がntES細胞の性質に与える影響についても明らかにしていく予定である。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)
Biology of Reproduction
巻: 92(3) 81 ページ: 1-11
10. 1095/biolreprod. 114. 123455.
http://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~twakayama/LSHP/index.html