研究課題/領域番号 |
24780279
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々木 道仁 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (70609403)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘルペスウイルス / ウマ / レセプター / MHCクラスI |
研究概要 |
本研究では、馬鼻肺炎の原因ウイルスであるウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)とウマヘルペスウイルス4型(EHV-4)のMHCクラスI 分子を介した細胞内侵入機構を明らかにし、得られた基礎的知見に基づいて新たなウイルス感染症阻害法の開発を試みる。 まず、ウマMHCクラスI 分子が有するウイルスレセプター機能について解析を行った。ウマMHCクラスI 分子のEHV-4レセプター機能を解析するため、EHV-4感受性であるウマ真皮由来E.Derm細胞におけるMHCクラスI分子の細胞表面発現をshRNA導入により抑制したところ、細胞のEHV-4感受性が顕著に減少した。したがって、EHV-1同様、EHV-4のE.Derm細胞内侵入にウマMHCクラスI分子が重要な機能を担っていることが明らかになった。EHV-4 gDとMHCクラスI分子の結合を確認するため、組換えEHV-4 gDタンパク質の作製を開始している。 つぎに、ウサギMHCクラスI 分子が有するウイルスレセプター機能について解析を行った。ウサギ腎臓由来RK13細胞へのEHV-1感染におけるMHCクラスI分子の関与を検討するため、ウサギMHCクラスI分子をクローニングし、EHV-1非感受性NIH3T3細胞に発現させたところ、細胞はEHV-1感受性を示した。また、ウサギMHCクラスI分子と組換えEHV-1 gDタンパク質の結合をフローサイトメトリーにより確認した。従って、ウサギMHCクラスI分子もEHV-1レセプターとして機能することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の研究計画に記載した実験を予定通り行い、本研究をさらに発展させることができる知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は組換えEHV-4 gDタンパク質の作製を行い、作製した組換えタンパク質とウマMHCクラスI分子の結合を調べるとともに、組換えタンパク質がEHV-1およびEHV-4に対してウイルス感染阻害能を有するか解析を行う。 また、EHV-1はRK13細胞への感染においてMHCクラスI分子をレセプターとして利用していることが示唆されたことから、ウサギMHCクラスI分子が有するEHV-1レセプター機能について、抗体やshRNAを用いた感染阻害実験や免疫沈降法によるウサギMHCクラスI分子とEHV-1 gDの結合の確認などの解析を予定している。 さらに、ウサギMHCクラスI分子がEHV-4のレセプターとして機能しないことを確認し、EHV-1とEHV-4の細胞指向性の違いにMHCクラスI分子が関与していることを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の経費節減の結果生じた繰り越し分および平成25年度の研究費は、上記研究の遂行に必要である消耗品、試薬の購入に使用する。
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