研究課題
本年度は昨年度に作製した可溶化EHV-4 gD組換えタンパク質(sgD4)と可溶化EHV-1 gD組換えタンパク質(sgD1)を用いて、EHV-1とEHV-4の細胞内侵入機構に関して更なる解析を実施した。ウマ培養細胞株E.Dermでは、sgD1またはsgD4の前処理によりEHV-1とEHV-4の細胞内侵入が阻害された。したがって、EHV-1とEHV-4は共通のレセプター分子を介してE.Derm細胞内に侵入することが判明した。一方、ウサギ培養細胞株RK13とチャイニーズハムスター培養細胞株CHO-K1ではsgD1はEHV-1の細胞内侵入を阻害したものの、sgD4はEHV-1の細胞内侵入を阻害せず、これらの細胞におけるEHV-1独自の細胞内侵入機構の存在が示唆された。昨年度までにウサギMHCクラスI遺伝子クローンA31がウマMHCクラスI遺伝子クローンA68に比べてEHV-1とEHV-4のレセプターとしての機能が低いことを確認している。そこで、本年度はA31のレセプター機能に関して更なる解析を実施した。過去の研究報告でウマMHCクラスIの173番目のアミノ酸が疎水性アミノ酸であることがEHV-1レセプター機能に重要であることが示されている。一方、A31は173番目に親水性アミノ酸スレオニンをコードしている。そこで、A31の173番目のアミノ酸をアラニンに置換した変異体(A31 T173A)を作製し細胞に発現させたところ、A31 T173A発現細胞はA31発現細胞に比べてEHV-1とEHV-4の感受性が上昇しており、ウサギMHCクラスIにおいても173番目のアミノ酸がレセプター機能に重要であることが判明した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of General Virology
巻: 96 ページ: 440-452
10.1099/vir.0.071209-0
Journal of Virology
巻: 88 ページ: 9819-9829
10.1128/JVI.01277-14