哺乳類の母親は乳で子を養育する。幼仔にとって母乳は仔の生存に不可欠であるが、母親は泌乳のため栄養損失を避けられない。過剰な栄養損失により母親自身の生命維持が難しくなることから、母親は自身のエネルギー状態に応じて乳の合成・分泌だけでなく、養育行動を制御しているのではないかと考えた。本研究では空腹時に分泌され摂食促進に働くNeuropeptide Yが養育行動の抑制に働くことを明らかにした。Neuropeptide YはY1受容体を介して背側縫線核のセロトニン神経やGABA神経に作用し、セロトニン神経の活性化とGABAB受容体を介した制御を抑制するため、養育行動を抑制することが明らかになった。
|