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2012 年度 実施状況報告書

脳の養育中枢における摂食調節分子アミリンの新規機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24780292
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

恒岡 洋右  独立行政法人理化学研究所, 黒田研究ユニット, 研究員 (50549011)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードアミリン / 遺伝子改変マウス / 社会行動 / 内側視索前野
研究概要

養育行動は哺乳類の繁殖に必須であり、社会経験などにより可塑的に変化する。養育行動の制御機構解明は効率的な繁殖、子世代の育児放棄や不安行動・攻撃性の増加といった問題の解決において重要である。脳の内側視索前野の一部にある、養育に必須と考えられている部位ではアミリンと呼ばれる摂食関連ペプチドの受容体Calcrが発現していることが申請者らの研究から示唆されている。また、アミリンの発現量は社会経験などによる養育行動の変化と高い相関を示していたことから、アミリンは養育行動を制御している可能性が高い。本申請研究ではアミリンの養育行動における機能についての知見を得ることを目的とし、マウスモデルを用いてアミリンを中心とした養育行動の制御機構の解明に取り組んだ。
アミリンが養育行動の各要素にどのような機能を持つかを検討するため、今年度は性差、齢差、社会経験によって変化するアミリンmRNA、タンパクの発現量をISHおよびIHCによって調べた。その結果、内側視索前野におけるアミリンの発現には性差があり、オスではほとんど発現が確認できなかった。一方、メスでは社会環境によってその発現量が変化した。特に妊娠・出産・授乳前期・授乳後期でmRNA,タンパク共に最大で数百倍の発現量変化が認められた。
養育行動にかかわる細胞とアミリンの関連を調べるため、養育行動中に活性化する細胞でのCalcr発現についてISH法を用いて検討した。その結果、養育行動中に活性化する細胞の半分以上がCalcr遺伝子を発現していた。
Calcr遺伝子の脳特異的破壊マウスを作出するため、flox遺伝子を導入した遺伝子改変マウスの作成に取り組んだ。現在のところ、flox遺伝子を持つキメラマウスを複数得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本申請研究ではアミリンの養育行動における機能についての知見を得ることが目的であり、以下について研究を実施する。A) 性差、齢差、社会経験によって変化するアミリンの発現量を調べる。B) アミリン及びその阻害剤の脳内注入によって養育行動が促進及び抑制されるかについて調べる。また、アミリンの効果に対する性差や社会経験の影響も検討する。C) アミリン受容体Calcr遺伝子の養育中枢特異的KOマウスの作成し養育行動解析を行う。
今年度の計画として、実験Aの終了と、実験Cのマウス作成を予定していた。これまでのところ、予定通り実験Aが終了し、マウス作成もほぼ終了の段階に達している。

今後の研究の推進方策

今後は薬理実験および遺伝子改変マウスを用いた行動実験が中心となる。また、初年度の成果を論文として発表する。
具体的には、養育中枢で発現するアミリン受容体の機能に関する具体的な知見を得るため、アミリン及びその阻害剤の養育中枢への微量注入を行い、養育行動を評価する。養育行動の評価は養育開始時間と養育に費やした時間の定量で行う。雌雄ともに養育経験の有無の異なる個体をサンプルとして用いることでアミリンの効果に対する性差や社会経験の影響も検討する。また、作成された領域特異的KOマウスの特に雌マウスについては、正常に妊娠・出産可能か、新生仔の様子及び巣の形状なども含めた様々な養育行動要素について領域特異的KOマウスと野生型マウスで詳細に比較検討する。作成されたKOマウスの表現型が代償作用により、アミリンの注入実験と結果が一致しないことも考えられる。そのような場合、成体のCalcr-floxマウスにCre遺伝子を持つ組み換えアデノウイルスを養育中枢に注入し、時期・領域特異的な遺伝子KOを行い、その表現型を観察する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 雄マウスの仔マウスへの行動選択に関わる神経機構

    • 著者名/発表者名
      恒岡洋右
    • 学会等名
      動物学会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(大阪)
  • [学会発表] マウス養育行動中枢におけるアミリン(膵ラ島アミロイド蛋白)の発現動態の解析

    • 著者名/発表者名
      丸山徹歩
    • 学会等名
      動物学会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス(大阪)

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公開日: 2014-07-24  

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