研究課題
中枢神経系の神経変性疾患において、神経細胞の変性にアストロサイトがどのような役割を果たしているかを明らかにすることを最終的な目的として、神経細胞およびアストロサイトの初代培養を用いた解析を行った。マウス胎子由来のニューロスフェアモデルにプリオンを感染させ、GFAP陽性のアストロサイトにおいて、どのような細胞内局在を示すかを明らかにした。プリオンを感染後、15日と30日において、PrPSc特異的免疫染色法にてPrPScと上述した細胞内小器官マーカーとを共染色し、共焦点顕微鏡にて観察した結果、PrPScはアストロサイトでは主にリソソームに存在することが明らかになった。また、プリオン感染アストロサイトを作製し、神経細胞の共培養を行うために、神経細胞を純培養しようと試みた。グリア細胞の混入を排除するため、密度勾配遠心、パンディング、細胞分裂阻害剤添加などの方法を検討したが、これらの方法では、少数ではあるがアストロサイトの混入は避けられなかった。アストロサイトの突起は、神経細胞の突起に寄り添うように存在し、アストロサイトに寄り添われた神経細胞は、そうでない神経細胞と比較して形態が美しく保持されており、特に長期間の培養において顕著にその傾向が認められた。わずかではあるが、アストロサイトが混入することで、神経細胞の状態の評価が混乱するため、神経細胞の純培養の更なる技術的な改善が必要であることが明らかになった。また、プリオン病と同様に、脳内で明瞭な炎症性変化を示さず神経変性が生じる感染症に、ボルナ病ウイルス(BDV)感染ラット新生子モデルがある。そこで、新生子ラットの脳から神経細胞およびアストロサイトの初代培養を作出し、BDV持続感染細胞由来のBDVを添加したが、神経細胞、アストロサイトとも明瞭な変化は認められなかった。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件)
Arch Virol
巻: 159 ページ: 371-373
10.1007/s00705-013-1813-5
Virus Genes
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Vet Microbiol
10.1016/j.vetmic.2014.03.009.
巻: 47 ページ: 173-177
10.1007/s11262-013-0913-3
J Vet Med Sci
巻: 75 ページ: 1651-1655