フッ素中毒による肝毒性に見られる、肝細胞内脂肪滞留のメカニズム解明を試みた。小胞体内で産生された脂質が、細胞内小胞輸送システムの阻害により、細胞内滞留した結果ではないかと考えた。脂質代謝との関連が示唆されながら、輸送に関する作用が不明であったCD36、ApoB、CIDE-B、Vamp-7、FABP-1各タンパクの挙動を調べた結果、CIDE-Bがタンパク輸送小胞形成時に、細胞質から小胞体膜上に移動し、また、輸送小胞形成阻害時に、その移動が阻害されたことから、タンパク輸送小胞コートタンパクと同様の挙動を示すことが明らかになった。
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