研究課題
本研究課題は、アジアで猛威を振るう高病原性豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(HP-PRRSV)の我が国への浸入に備え、本病の病態を精査し、診断法を開発することを目的に実施した。研究代表者は、1)HP-PRRSVと従来型の豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)を個別に検出することが可能な診断法を開発、2)感染実験を実施することにより我が国ではまだ見ることのできないHP-PRRSVによる病態を精査、3)HP-PRRSV感染豚におけるウイルス動態とそれに対する宿主応答を解析、4)我が国に流行する従来型のPRRSVに対する免疫がHP-PRRSVに対して一定の交差性を有することを研究期間を通じて明らかにした。現在のところHP-PRRSVを国内で所有している研究者は研究代表者を除いて他におらず、しかもHP-PRRSVを用いた豚の感染実験を行うことのできる封じ込め施設は当研究所をおいて他にないという事実は本研究の独創的な点として挙げられる。また、国内の北米型PRRSVは日本特有の遺伝学的系統を形成しており、日本で飼養されている豚の種類の特性等も加味する上では、他国で同じ研究が行われる可能性は低く、極めて独創的である。本研究終了後には、PRRS流行時に速やかにHP-PRRSの検査が行われるようになる。その中でHP-PRRSの遺伝子が確認された場合には、本研究によって得られる臨床症状や病理学的所見を基に確定診断を行い、ウイルスの拡散に関するリスク分析に速やかに移行できるようになることは非常に意義がある。これまで本研究を除いてはHP-PRRSに対する防疫関連研究は一切なされておらず、研究代表者の成果が国内で使用可能な唯一のHP-PRRSV対策の参考資料となるであろう。
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