研究課題
(1)サルで流行したCDV(S-CDV)について病原性のメカニズムを解析するために必要な、リバースジェネティクス系の確立を行った。本年度は前年度に作製したS-CDVゲノム全塩基配列を含む完全長ゲノム発現プラスミドと同様に系の確立に必須であるN、P、Lタンパク質発現プラスミドを作製した。この発現プラスミドにはS-CDVの遺伝子を使用した。発現ベクターpKS336に各遺伝子のオープンリーディングフレームを導入して作製した。今回作成したプラスミドを完全長ゲノム発現プラスミドと同時に293細胞にトランスフェクションをした後にイヌSLAMを発言しているVero細胞と共培養を行い、感染性ウイルスの回収を試みたが、現時点では感染性ウイルスの発現は確認できなかった。(2)国内検疫施設内のサルコロニー内で流行した時のS-CDV感染サルのPBMC(合計9匹分)からRNAを抽出した。ここからRT-PCRでS-CDVのF遺伝子、H遺伝子領域を増幅したものをサンプルとして、次世代シーケンサーで塩基配列とそのバリエーションの解析を行った。感染サル個体ごとにウイルスのF遺伝子、H遺伝子のアミノ酸配列について、それそれ2箇所ずつ合計4箇所のアミノ酸配列にバリエーションが確認された。特にH遺伝子領域のアミノ酸バリエーションが存在する部分は感染レセプターの一つであるSLAMを利用した感染効率に関与する領域であった。F遺伝子領域のバリエーションについて、これがどのように病原性に関与するのかは現時点では不明であるが、H遺伝子の結果から鑑みるに、何らかの意味がある可能性を持つ。
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